あるライターの女性が、書くことについてこんなふうに話していた。

「書いているときの自分は、他のときとちょっと違う。
自分の中の、普段はとどくことができない水脈に
書いているときは辿り着ける。」

普段はとどくことができない、自分の中の水脈。

誰もが内側にもっている、
エネルギーの源みたいなもの。

それぞれの人にそれぞれの水脈があって、
そこにたどりつくために
人は生きているのかもしれない。

料理人には料理人の、
ミュージシャンにはミュージシャンの、
物書きには物書きの。
…わかりやすい何者かでなくても。

表に現れていることは違っても、
追いかけていることは一緒なんだ。



自分でやると決めたことを貫いている友人に、
それをすると決めた初めてのときのことを聞いた。

「自分のつくったものに、感動してしまったんだ。」

そのときの、子どもみたいにまっさらな笑顔と、
意志のこもった瞳の、強い光を忘れられない。

そこには驕りや過信はなくて、
ただただ純粋な気持ちが現れていた。

そして自分の作ったものを、まるで他の誰かのものみたいに
ちょっと離れて眺めている感じがあった。

彼はきっと毎日、毎秒、その脈打つ音を感じて生きているんだろうな。

宇宙と繋がる、自分の中の水脈の音。

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